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私は現在の会社を経営して丸9年、10年以上前にも経営者という立場を経験していたり、個人事業主という立場も経験していますので、合計16年「経営」というものに携わています。
また、赤字を出した事がありませんので、自分の中ではまあまあ良くやっている方だと思っています。まあ小さな会社ですが。
しかし私自身、今までいわゆる「経営者」になろうなんて一度も思った事がなく、今自分が経営者である事が不思議なくらいです。
父親もサラリーマンでしたし、身近な親族でも会社を経経営したり、また商売をしている人間がいなかったので、会社を経営するとか、お店を出すとか、そういった考えに至った事すらありませんでした。
では何故、私が今経営者という立場でいるかという事を一言で言うと、それは「会社勤めができないから」です。
でも、これを話すとネガティブに捉えられる事があるのですが、決して私は会社に行く事が嫌なのではなく、納得できない事が必ず出てきてしまうからなのです。
9年間のサラリーマン時代
一番最初にサラリーマンになったのは、高校卒業後すぐでした。
私の時代は第二次ベビーブームでしたので、私の高校の同級生は600人位いましたから、なんでも競争の時代だったように思います。
皆大学に進学しますが、私は親から「進学の選択肢はなし」と言い続けられていたので、すぐに就職しました。
といっても、就職も競争で、志望する会社を受けたいなら、校内選考を通過しないと応募すらできなかった記憶があります。
私は大手の飲料メーカーを志望し、校内選考を通過し、試験・面接を受け入社できました。
応募は1名だったにも関わらず人気があったので、倍率でいうとかなり高く、校内選考を通過した時点で奇跡だと思い、「これは頑張らないとな」という気持ちを強く持ちました。
そして高校卒業後に入社し、社会人になりました。
飲料メーカーと言っても営業職ですので、毎日の配達+営業での成績を上げるのは決して安易ではありませんでした。
定時に帰れる事などほとんどなく、過酷な配達が終わっても、営業が出来ていないと帰り辛く、どこかで夜まで時間を潰す事もありましたね。
入社後2年くらいは、目の前の仕事でいっぱいで営業成績など上げるつもりは全くありませんでしたが、私の闘志に火を付ける出来事がありました。
それは、一年後輩が大きめの契約を取ってきたのです。
大きめの契約と言っても、新規で新品の自動販売機を置かせて頂くという契約ですが、この契約は凄く難しく、新人ができるものはなかったのです。
その夜、私は布団の中でもの凄く悔しい気持ちになり、自分は絶対1番になると闘志を燃やしながら眠りについたのを覚えています。
そして翌日から、配達の合間に片っ端から営業をするようになり、一週間で3台の契約を取りました。勢いだけの営業でした。
もちろん上司にも褒められますし、賞ももらえましたので、大変な仕事ながらも凄く充実した毎日を過ごしていました。
私はコンスタントに成績を上げ、表彰もされていましたが、それから数年が経ったあたりから色々と疑問や不満が出るようになりました。
それは、「実際に頑張って成績を上げても、何もしていない人間とさほど待遇が変わらない」という事でした。
そこまではまだ良いのですが、有名大学を出た数年後輩が、何も成績を上げていないのにも関わらず私より上の立場になったりと、納得がいかない毎日でした。
その辺りからやる気が無くなっていき、ただ会社に行って仕事をするという毎日に変わっていきました。
結局私は27歳で9年勤めたその会社を辞める事にしました。
自分のように、結果を出してもちゃんと返ってこないと考えるような人間や、不公平だと思う人間は、自分で何かするしかない、と考えたのです。
自分でやるなら出来ても出来なくても全部自分に返ってくるからです。
自分自身で結果を得る
私はとにかく好きだった音楽の道へ進みたくすぐに上京しました。
27歳でアルバイトをしながら、曲を作ったりライブに出ていましたが、その道ではなかなか結果は出ませんでした。
でも、それはもの凄く自分で納得できましたし、その時の自分には足りないものがたくさんあるとしっかり認識できていました。
私はその道を諦めた訳ではありませんが、その後様々な仕事を経験し、今の会社を設立しました。
音楽をやっていた事は今の会社でもかなり役立っています。
映画の主題歌の仕事が入ったり、よさこい祭りの演舞曲の作曲、また、現在では音楽レーベルも立ち上げておりますので、若いアーティストの育成やプロデュースをしています。
話は戻りますが、私は9年のサラリーマン生活を経て、そこからの人生はほとんど自分で成果を上げないと生活できないレベルの事をしてきました。
もちろん、うまくいかない時が続き、30代半ばを過ぎた辺りで貯金が数千円という大ピンチを迎えた時もありました。
でも、それも全て自分がやってきた事の結果であり、しっかり受け止める事が出来ていました。
「経営者」として生きる選択
9年前、私が今の会社を立ち上げるきっかけになったのは、やはり自分のやりたい事で結果を出し、生活したいという思いが強かったからです。
そして何よりもサラリーマンとしては生きていけないと思ったからです。
決して、経営者になりたい、経営者として成功したいという思いではなく、あくまでも自分の力でどこまで通用するのか、また、良くも悪くも全部自分に返ってくるという事、サラリーマンではそれが出来ないからこそそうしたいと思ったのです。
私は、別記事
でも書かせて頂いていますが、会社を始める歳に事業計画などは一切作りませんでした。
作らなかった理由は、とにかく考えずやってみる、やってみないと何が起こるかわからないという思いがあったからです。
実際多くの人が会社を立ち上げる際「経営者になる」という事に重きを置きすぎて、細かい計画を立てたり頭で考える事が多くなり、実際始めてみて計画通り行かない事に焦りを感じやめてしまうのです。
私も細かい計画など立てて、そんな事に時間を使っていたならとっくに会社は倒産していると思います。
始めてみるとわかると思いますが、想像もつかない事が日々起こります。
良い事も悪い事もです。
そして、その時その時、その問題点にしっかり向き合い乗り越えます。
失敗をたくさんして、失敗をたくさん乗り越えてこそ、始めて「経営者」になれると思っています。
時に犯してしまう大きなミス
ここで、私が会社を立ち上げて3年目に起こした大きなミスと、そこから挽回した事を一つお話し致します。
3年目の決算前に、税理士から、「何かあった時の為に、決算までに現金100万円ほど事務所に保管して置いて下さい」と言われ、当時私の椅子の後ろにあった棚の中の金庫に100万円入れました。
その当時はまだまだ駆け出しでしたので、100万円はもちろん大金で、事務所にお金を置くという事に少し不安を感じていました。
金庫は用意していたものの、会社に現金を置いた事がなく、数日後にはその金庫に100万円入れた事をすっかり忘れてしまったのです。
ある日、部下と事務所の整理をしようという話になり、いらなくなった棚を捨てる事にしました。
廃品回収業者に来てもらい、その棚をそのまま持って帰ってもらったのです。
しかし、その直後、棚の中に金庫を入れていた事を思い出し、私は青ざめました。
部下に
「棚の中全部見たよね?」
と確認したところ、
「全部開けて確認しましたが何も入ってなかったですよ」
という答えでした。
おそらく、金庫が入っていた引き出しはあえて開け方がわかりにくい引き出しに入れてましたので、誰も気づかなかったのだと思います。
私はその廃品回収業者に連絡を入れましたがなかなか捕まらず、連絡が取れたのは夕方でした。
もう既に、色々な粗大ゴミを集める場所に持って行ったとの事で、その場所を聞き、部下と一緒にそこまで向かいました。
もう夜という事もあり、結局そこも閉まっており、翌日の朝1番で行く事にしました。
翌朝8時に、部下とまたそこを訪れ、現場で働いている方に詳細を話しました。
色々探してもらいましたが結局見つからず、再度回収業者にも色々聞きましたが知らないと言われるだけでした。
私は諦めて、その日は何も手につかなかったので家に帰る事にしました。
家に帰って、なんでこんな事になったのかをじっくり考えました。
そして、冷静に自分の駄目なところを見つめ直しました。
私の性格は、細かいところは細かいのですが、だいたいにおいて大雑把で、掃除なども苦手です。
しかし、「経営者」としてはそういった性格をしっかり理解した上で、様々な対策を取っておくべきでした。
自分がおかした大きなミスで、大事な大事な運転資金を失う事に。
ただでさえ、まだ安定していない経営なのに、これからどうしようとずっと頭を抱えていましたが、そこから私はそれを仕事で埋めるべく色々と考えました。
大きなミスの後の行動
その当時、web制作やSEO対策で、非常に興味を持って信頼して頂いているお客様がいらっしゃいました。
毎月コンスタントに仕事を頂き、また、私も結果をしっかり出しておりました。
そこで、私はそのお客様にある提案をさせて頂く事にしました。
それは、1ヶ月100万円の契約です。
その中身は、その当時お客様が所有されていた数サイト全部のSEO対策と、1ヶ月1サイト制作、またその他の業務を全て弊社で請け負うという内容です。
ようは、全部まとめて定額でお願いしますという事です。
その提案書を作ってお客様の元へ交渉に行きました。
私の必ずそれ以上の結果を出すという言葉を信じて頂き、なんとその日に1ヶ月100万円という契約が成立したのです。
私は、そこから毎日ほぼ徹夜でwebサイトを制作したり、SEO対策をし、そのお客様の事業を成功させる事で必死でしたね。
結局そのお客様とは、それから約7年、契約内容は若干変わりましたが引き続きお付き合いさせて頂いております。
一見むちゃくちゃな話かもわかりませんが、突然起こった自分の大きなミスを、自分自身の仕事でしっかり取り返す事ができ、またお客様にも喜んでもらえる結果になりました。
100万円を無くしてしまいましたが、この7年で約7,000万円の売上、そして信頼を得ました。とても大変な事でしたが、そのお客様の仕事を長年させて頂き、かなりの経験ができ成長をさせて頂きました。
これは大変極端な例ですが、時にとんでもない事が起こり、そこから色々な発展をしたりします。
私はこんな無茶苦茶な性格ですが、こんな性格だからこそ経営者が出来ているし、経営者しかできないと思っています。
身近な話になってしまいますが、私の周りの経営者もそういう人達が非常に多いですね。
「経営者」になりたいという気持ちは関係ない
タイトルでもある通り、「経営者になりたい」など思っていなくても、そこに導かれる人は導かれてしまいます。
組織の中でうまく活躍できない、会社の人間関係が煩わしい、上司が気に食わない、給料が安い、自由な時間が欲しい、好きな事をしたい、など、現状に様々な不満を持たれている方が多いかと思いますが、そういった方は絶対「経営者」として挑戦した方が良いと思います。
実際に私もそうでしたし、この道しかないと思っています。
そして「経営者」という道を選んでこそ見えるものがあったり、気づくものがあります。
それはかけがえのないモノばかりです。
私は今でも「経営者」としての成功には興味がないですが、自分の好きな事をして結果を出し、報酬を得て、サラリーマンの方に比べ遥かに使える時間やお金がありますので、おそらくずっと続けて行くと思います。
今の会社がなくなっても、フリーランスとしてやっていくと思います。
今までの人生で「経営者」になる事など考えた事がない方でも、今の現状に不満があるなら絶対始めて下さい。向き不向きもないです。細かい計画もいらないです。
どんな事があってもそれを乗り越える気持ちだけあれば、その一つ一つが大きな経験となり、それが全て返ってきます。
「経営者」になりたいと思わなくてもいいです。
「経営者」になんかなりたくないと思っていてもいいです。
サラリーマンが向いてないと思うなら、必ずなる時が来ます。
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管理人・ライター / TOMOYA
49歳男性。
web制作、webマーケティング、また音楽関連の会社を東京都内で経営。(2011年設立)
栃木放送「Leina✫color」パーソナリティ。
大手企業でのサラリーマンから、ミュージシャンを目指した極貧生活、20を超える業種のアルバイトや正社員を経て起業。私生活では4回の結婚を経験するなどジェットコースターのような人生を生きる。
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