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今、まさに転職を考えている方の中には営業職を選択肢にされている方も多いと思います。
また逆に、営業職が合わないという理由で、転職を考えられている方も多いと思います。
これから営業職を考えている方も、そこから離れようと考えている方にも、是非知って頂きたい「営業」という仕事の本質について書かせて頂きたいと思います。
これを知っておかないと、営業職に就いても失敗してしまう事、また、合わないと離れて別の職種についても、この考え方をわかっていないとどんな業種でも失敗してしまいますので、是非読んで頂ければと思います。
私は現在会社を経営して9年ですが、社会に出て約30年、ほとんどこの「営業」という仕事に携わってきましたので、そこでの失敗、成功を繰り返して得たものを、実際の経験からお話しさせて頂きます。
営業職でのサラリーマン生活
まず、私は18歳で某飲料メーカーに営業職として入社し、約9年その会社に在籍していました。
東証一部上場企業でしたが、今とは違いとても厳しい環境で、今だから言えますが上司からの暴力や、極端に多い残業が当たり前でした。
ただ、私はあの9年で、このルート営業と飛び込み営業の本質をほぼ学び、その経験があったからこそ、その後の人生でも役立ち、今、こうやって会社も経営できていると思っています。
ルート営業とは
まずルート営業とは、実際の取り引きのある店舗や会社を毎日回り、御用聞きや配達、新商品の紹介をする事です。
私の場合、ある地域の数百件の店舗や会社を担当として任され、それを月曜から金曜に分け、毎日数十件を回るといったスタイルでした。
もちろんこのルート営業にもノルマはあり、前年度の同月と比較して120%から130%の受注を上げないと評価されないというものでした。
飲料メーカーでしたので、冷夏だともちろん売上は落ちてしまいますが、そんな言い訳が通用するような甘い世界ではありません。
毎日毎日の積み重ねこそが成果につながるのがこのルート営業です。
飛び込み営業とは
飛び込み営業とは、名前の通りいきなり店舗や会社に飛び込んで契約を取ったり、何かを販売する事です。
ルート営業とは違い、全くの新規営業ですので嫌がられる事も多く、メンタルが弱い方は向いてないと感じてしまうかもしれません。
そして、私が勤めていたこの飲料メーカーも、ルート営業とは別に、新規の飛び込み営業もありました。
では、この2つの経験から、それぞれの大事な事のお話しをさせて頂きます。
ルート営業をする上での大事な事とは
ルート営業で1番大事な事は、顧客との信頼関係です。
そんな事当たり前だと言われそうですが、この意味をしっかり理解していない人が多すぎるのと、勘違いしている人が非常に多いです。
ルート営業をしていると、毎週顔を合わせるので、顧客と仲良くなり、それを信頼関係と勘違いする事からの失敗がもの凄く多いです。
「今月ノルマきついから多めに取って下さいよー」
などと言い、断れない顧客に商品を売りつけるのは何の意味もありません。
結局在庫が多くなるだけで、後に返品、それ以降の受注の減少に繋がるだけなのです。
本来の信頼関係は、その商品がいかに売れるように提案し、実行できて始めて築けるものです。
お店の中の陳列を工夫したり、自動販売機の掃除、また売れ筋の把握からの並べ替え、HOT、COLDのバランスなど、毎週毎週そこまで考えて実行できて始めて信頼関係が築けます。世間話じゃないんです。
そして、そういったルート営業の顧客に、新たな提案をする歳に、その信頼関係がものを言うのです。
失敗例から学ぶ
ここで私の失敗例から学んだ事を一つ書かせて頂きます。
私はルート営業で、とある個人商店に毎週訪問していました。
この店主は高齢の女性一人で、私は毎週行く度に世間話しをし、仲良くなっていました。
いや、なっているつもりでした。
そのお店には自動販売機が置いてありましたが、もう型も古く、見栄えも悪かったので新品の自動販売機に交換する提案をしました。
「おばあちゃん、もうこの自動販売機古くなったから新品に替えませんか?自動販売機はお店の前に立っているものだから、新品の方がお店も良く見えるし、今よりも売上があがりますよ」
私はそういった提案をしていました。
その店主は
「そうだねー、ちょっと考えさせてくれる?」
と言い、なかなか良い返事がもらえませんでした。
もちろん、新品に替えた方がいいに決まってますが、新たに毎月のレンタル料もかかりますのでそんなすぐに返事をもらえる訳もありません。
しかし、新品の自動販売機を契約すると、成績がかなり上がるので、私は毎週訪問する度に店主に提案していました。
いい返事がなかなかもらえなかったある日、私の後輩がその店主から新品の自動販売機の契約を取ってきたのです。
私が担当しているのに何故だ?と少し怒りもありました。
その後輩は、私が受注で顧客に訪問した2日後に、商品の配達で訪問する仕事をしていました。
私はその店主のところに出向き、
「新品の契約して頂いたみたいですね、ありがとうございます。でも、なんで僕じゃなかったんですか?毎週提案していたのに」
店主は申し訳なさそうにこう話しました。
「配達してくれている○○君ね、毎週来てくれる度に、この古い自動販売機を一生懸命掃除してくれるのよ。もう古いからいいよって言っても、綺麗に掃除してたらまだまだ使えるからって。毎週毎週申し訳ないから、新品の持ってきていいよって」
私はその話しを聞いて、もの凄く恥ずかしくなりました。
恥ずかしいというよりも情けなくてたまらない気持ちになりました。
その後輩は、一回も新品への交換の話しをせずに、その契約を取ってきたのです。
この出来事は、私の営業への考え方を全て変える事になりました。
よく、営業マンは口が上手い方が成功するとか聞きますが、そんなのは2流の営業マンだと、本当の営業じゃないと思えるようになったのです。
「ルート営業は、顧客との信頼関係が大事です」
こんな一言では到底語れる事ができません。
信頼関係など軽く語れる事ではないのです。
私は、この出来事がなかったら、本当に今の立場で仕事をしていなかったと思います。
それくらい、営業や仕事といった事に対して考え方が変わった衝撃的な出来事でした。
飛び込み営業をする上での大事な事とは
また、飛び込み営業での例も一つ話しをさせて頂きます。
私もその飲料メーカーでもそうですが、その後の他の業種でも飛び込み営業をたくさん経験しました。
飛び込み営業の1番難しいところは、その名前の通り「飛び込む」というところにあります。
どうしても頭で先に考えてしまい、「きっと駄目だ」「怒られる」「忙しいだろう」などと勝手に判断し、なかなか飛び込めない事です。
訪問数の大事さ
飛び込み営業で1番大事なのは、「訪問する数」だと思っています。
私は30代半ば頃に、とある外資系の損保会社に営業職として入社し、飛び込み営業をしていました。
なかなか結果が出ず、同期にもかなり成績を離されていました。
「同じようにしているのに、なんで自分だけ」という不満を持っていましたが、私は皆よりも圧倒的に訪問件数が少なかったのです。
飛び込み営業の場合、「訪問する」という分母が多ければ多いほど、そのピラミッドは大きくなります。「底辺の拡大」という言い方をします。
この図のように、飛び込み営業という「底辺」を拡大しする事により、契約件数も増える事になります。
この訪問数が少なくなる原因は、やはり頭で勝手に考えて結論を出してしまう事です。
ましてや、保険屋がいきなり訪問してきて、嫌な顔しない人はいないだろうと。
しかし、それは本当に頭の中だけで、実際、自分が提案しようとしている保険を必要としている人はたくさんいるのです。
私は損保だったので法人向けの商品でしたが、今、経営者として数年やってきて、必要な保険がたくさんある事に気づいたのです。
自分に何かあった時の従業員を守る保険、従業員に何かあった時の保険、従業員が第三者に損害を与えてしまった時の保険、顧客に迷惑をかけてしまった時の保険、会社の自動車保険、火災保険、節税の為の保険、会社を経営していると数多くのリスクがあるので、そういった悩みを持っている経営者は非常に多いのです。
そういった事をしっかり理解していれば、「できるだけ多くの経営者に教えてあげよう」という気持ちになるはずです。
そしてその気持こそが、訪問件数を上げる事に繋がり、経営者の心に響く事になるのです。
飛び込み営業は、怖がらずに数多く訪問する事、これこそが成功に繋がります。
飛び込み営業で信頼関係を作る
あと一つ、ルート営業とは違い、すぐに信頼信頼関係を築く事は難しいので、信頼してもらう為にもの凄く大事な事があります。
それは、相手の話しをよく聞く事です。
これも当たり前だと言われそうですが、これもなかなか出来ない事なんです。
商品に自信があるので、どうしても商品の説明に入りがちですが、その商品を必要としているかどうかなんてわからないですよね。
まず、我慢してしっかり話しを聞いて、たくさん質問して、とにかく相手の情報を引き出す。
そうしているうちに、必ず「本音」が出てきます。
これは、話しを聞くスタンスでいないと絶対に出てきません。
この「本音」こそが鍵なのです。
「本音=悩み」であり、経営者はなかなか他人に悩みなど話そうとしません。
この悩みが聞けてこそ、それを解消してあげるべく提案をして、心に刺さるのです。
飛び込み営業は、これを間違えずに繰り返すと必ずと言っていいほど成功しますね。
「しつこい」は始めだけ
もう一つおまけですが、門前払いされた会社でも、その後何度か訪問していると、話しを聞いてくれる可能性が非常に高いです。
一回目に門前払いされても、例えば5回目に訪問した時には、もう相手に顔が知られています。
1番初めは、相手からしても初めて見る顔ですので、話を聞かずに門前払いする可能性が高いですが、その後も訪問していると、「もう知っている顔」になるのです。
そして、ため息をつかれながらでも、まんざらでもない顔で迎えてくれるのです。
あくまでも可能性の話ですが。
とにかく飛び込み営業は、「できるだけたくさん訪問する」「相手の話しをよく聞く」この2つがとても大事ですので、これから転職を考えている方、また今悩んでいる方は是非参考にして下さい。
資料を出すタイミングの大切さ
ここまで、ルート営業と飛び込み営業をする上での大事な事を書かせて頂きましたが、営業はそれだけではありません。
とある企業と色々とやり取りを電話やメールでした後に、その企業に出向き、大きな提案をする事もあります。
そういった経験もしてきましたが、それについてのアドバイスも少しさせて頂きます。
これはあくまでも私がやって今でも成功している事ですが、「資料を持って行っても渡さない」という事です。
え?と言われそうですが、絶対にそうだと自信を持って言えます。
まず、1番初めに資料を渡すと、皆ペラペラ資料をめくり、話しをあまり聞いてくれません。ちゃんと伝えたい事、大事な事がなかなか響かないのです。
私の場合、資料の話しは一切せず、ゆっくりわかりやすく全てを話します。
ちゃんと皆の目を順番に見ながら、身振り手振りをしながら話します。
もちろん所々、笑いも交えながら。
そして、誰も下を見る事なく色々な話しをし、自分が提案したい事を理解してもらい、帰る寸前に、
「あ、そういえば資料作ってきてるので、また後でご覧になって下さい」
と言って資料を配り去ろうとする頃には、皆夢中で食いつくように資料を見出すでしょう。
あくまでも私の経験ですが、成功する確率はかなり高いです。
是非おすすめします。
まとめ
今現在も「営業」に関わる仕事をされている方は非常に多いと思います。
営業職じゃなくても、ご自身でご商売されていたり、会社を経営されている場合は自分で営業しなければいけない立場にあるでしょう。
ですので、この「営業」は仕事をする上で1番と言っていいほど大事な仕事です。
多くの企業では「営業は神様」と言われているくらいですので、顧客と同様とても必要とされているのです。
そして、この営業でも様々な形がありますが、口が上手いとか下手とかは全く関係なく、信頼関係が全てだと私は言いたいです。
ある日本の自動車メーカーのトップセールスマンは、誰よりも口下手だったという話しを聞いた事がありますが、口下手でも、信頼関係を作る事は出来るのです。
そして、この「信頼関係」という言葉を勘違いしない事ですね。
顧客と仲良くなる事が信頼関係ではなく、接待をたくさんすればそれが培われるわけではなく、相手の事を考え何ができるかを、顧客の為に何が出来るのかを考え続ける事こそが、本当の信頼関係を築ける方法だと思っています。
営業職はどんな仕事よりもやりがいがあり、楽しい仕事です。
是非、諦めずにチャレンジしてみて下さい!
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管理人・ライター / TOMOYA
49歳男性。
web制作、webマーケティング、また音楽関連の会社を東京都内で経営。(2011年設立)
栃木放送「Leina✫color」パーソナリティ。
大手企業でのサラリーマンから、ミュージシャンを目指した極貧生活、20を超える業種のアルバイトや正社員を経て起業。私生活では4回の結婚を経験するなどジェットコースターのような人生を生きる。
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